シュールな悪魔に愛を
ルシファーが溜息をつくと、その横で楓も同調する。

「まったくよ…なんて、つまんない人生なんだろう。」
そうつぶやくと楓も、はぁ…っと溜息をついた。

「ルシファーが現れて、あたしの短い人生も終わったと思った、悲しかった。
でもそれは、不運にも悪魔に取り憑かれて、余命幾許(いくばく)もない悲劇の状況を悲しく思ったんじゃないの。
あっさりと死を受け入れたのは、あたしには離れがたい大切な人がいなかったから。やり遂げなければならない大切な事が無かったからなんだよね。
逆の立場で考えれば、あたしがいなくなっても、誰の記憶にも残らないってこと。あぁ、そういえば、そんな人いたよね…ってくらいに。
今まで、なにも大切にしてこなかったから当たり前だよ。そんな自分自身に気付いて…情けなくて、悲しくなったの。」

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