シュールな悪魔に愛を
まるでアナログテレビの砂嵐みたいに、視界が途切れ耳鳴りがする。

「おい、お嬢さん!大丈夫かよ?おい、しっかりしろ…」
「…うぅ。」

将棋を差していた若い男がいつの間にか隣にいて、楓の肩を支え覗き込むように声をかけていた。

「うっ…、あ、あの…すみません、大丈夫です。急に目まいがして…あたし、どうしちゃったんだろう。」
「きっと、あれじゃろ。立ちくらみだ。あんた顔色が真っ青じゃて。」

初老の男は、陳列台から身を乗り出してジロジロと楓を見下ろし言った。
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