隣の秀才君
「朔夜、あのイケメンに会いに行くわよ」
放課後、今日はさっさと帰ろうと鞄に教科書をつめていた時、とっても良い顔をした加代子がふざけたことをぬかし出した。
加代子は積極的な性格であるが…まさかここまでとは。
「私はいい。他の子誘って」
「何で?イケメンよ!イケメン!」
「別にイケメン興味ないし…」
顔見知りなんてバレたらどんなに厄介か…同居しているなんてバレた時は…考えたくもない。
だけど加代子はちょっと拒否したくらいで諦めるような物わかりの良い女じゃない。
「馬鹿言ってんじゃないわよ!あんなイケメン易々と巡り会えるものじゃないわよっ!」
「そうですかー。て言うかさ、何処にいるとかわかるわけ?」
よくよく考えてみれば、速水って何年なんだ?嬉しいことに同じ学年、クラスではないようだけど。
「あそこ」
加代子が笑顔で指差した窓の外、正門手前のグラウンドの真ん中に大分すごい人だかりが出来てる。
その中央に整った顔で偉そうに笑う速水。
…………何してんだよ!あいつはーっ!!
こんなあっさり見つかるなんて!
絶句する私をよそに、加代子はうっとりと熱い眼差しを速水に向けてた。がっちりと私の腕を掴んで。