十五の詩



 ちらちらと揺らめく光に目を開けた。葉の間から降りそそぐ木漏れ日。

 誰かに膝枕されていることに気づく。

「──あ…起きた?」

 イレーネの声。

 木に寄りかかってイレーネ自身も仮眠をとっていたのか、眠そうに目をこすっている。

 ユニスはこの状況をどう把握していいのか持て余した。

 イレーネはユニスを見て「顔色良くなったね」と笑った。

「昨日のことから話そうか。ユニス、鍛練室で指輪を落とさなかった?今、手に持っていると思う」

「あ…」

 ユニスが自分の手を開いて目をしばたたく。

「はい。この指輪です」

「私は普通の人より精神感応の感覚が強いから、わかることがあるんだ。人の思い入れのあるものにふれたら、普通は見えないものが見えたりする」

「──」

「指輪の主はユニスではないかと思った。講義中に実際にユニスの気が私のところに繋がっているのがわかった。この指輪を通してだと思うんだけど。それからかなり不安になっていることも伝わってきた。だからユニスを探してここに来た。ああいう連中に絡まれているのを見た時は、さすがに驚いたけど」

 一息に話されて、ユニスは時が止まったようにイレーネの顔を見つめていたが「ありがとうございます」と礼を述べた。

 心地よい風がさらさらとユニスの金髪をすいて、吹き抜けてゆく。精霊に愛でられる者──。

 たんに姿形が美しいというだけでは、ユニスのような雰囲気にはならない気がする。

「ユニスはリオピアの王子なんだね」

「──え?」

「あの男たちが言っていたし、ユニスが眠っている間にユリエに少し話も聞かせてもらった」

「……」

 ユニスはまた困ったような表情になり、口を閉ざしてしまう。イレーネは対照的にくつろいだ様子でのびをした。



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