十五の詩



 ユニスは指輪をしまいこんだ。今まだ何処かで生きているのかもしれないエレシアのことが気にかかっていた。

「私が愛することに負い目を感じるのは、人の愛する人の命を失わせてしまったからかもしれません」

「マスター…」

「エレシア先生は罵倒していました。レミニア先生のことも、私のことも。あの時の柵から私の心が抜け出せていない」

 壊れた心が魔力の爆発を生んだ。すべてが真っ白になり、気がつくとメルセインの塔に囚われていた。

 静かに語るユニスをユリエは抱きしめた。

「マスター、レミニア様が命を捨てられたのはマスターのせいじゃない」

「──」

「人を愛してはならない人なんて、何処にもいない。それだけは信じて」



 この世界に確かなものなどない。でも言わずにはいられない。

 輝き始めている純粋な想いが失われてしまわぬように。



     *



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