君の隣*秘密の特等席*
そういって由梨を追い返すと私は机に顔を伏せた。
あーあ。
私だってこんなに朝日のこと好きになるつもり
なかったのに。
なんで好きになったんだろう?
はじめから好きにならなければこんな辛い思い
しなくてすんだのに。
つくづく私って馬鹿な女だと思う。
でもしかたなかったんだ。
ずっと子供のころから一緒にいたんだから。
近くにいる人間を好きになるのは
珍しいことじゃない…と、私は思う。
そしてふと窓の外に目をやると、
「あー、雨だ。」
確か朝日と初めて会った日もこんな雨の日だったなぁ。