遠恋~君と恋をした日々~
だいぶん時間が立っていたのか、中の氷は溶けていた


飲んでみると、水とオレンジジュースが分裂してまずかった


吐きそうになったのを必死でこらえてゴクンと一気に飲んだ


「咲希、大丈夫?明日のこと考えてたの?」


莉那の言葉に何も言えなかった


明日のことなんて考えていなかった


不安はいっぱいある、いっぱいあるんだけどでもどこかで安心してる自分がいる


なんでか分からない、分からないんだけど安心してる


「あたし、どこかで安心してるんだ。もうあたしの事情で凪を傷つけなくて済むのかもしれないって。あたしが凪と別れれば、凪は自由になれるんじゃないかって。本当は、大好きで大好きで仕方ないはずなのに、なのに別れなきゃってずっと言われてるような気がするの。凪をいず付けるんじゃないかって・・・」


凪を傷つけたくない


本当は大好きで仕方ない


でも、凪を傷つけるくらいならそばから離れたほうがましなのかもしれない


こんなの間違ってるって分かってるけど、どうしても“別れる”としか結論が出ない


やっぱりあたしの頭はバカなんだと思い知らされる


他の人から、“咲希は頭いいね”と言われ続けた


でも、いいのは教科だけ


恋愛や友情を考えられるほど器用じゃない


生まれもったこの不器用さをすごく、すごく嫌になる








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