遠恋~君と恋をした日々~
「じゃーな咲希、あんまり遅くまでいたら祐希さんに怒られるから俺帰るよ」
「本当に今日はごめんね、明日駅で待ってるね」


手を振って別れた


暗闇に消えていく凪の背中をずっと見ていた


凪の背中はたくましくて、だきついた時すごく心地いいんだ


あの背中に他の人が抱きつくって考えただけで嫉妬心が出る


でも、でもみんなにも分かってもらいたいって思ってしまう


男の子の背中はこんなにも心地いいんだよって


あたし、自己中なのかもしれない


矛盾してるんだ


家の中へ入ると、お兄ちゃんが立っていた


「咲希、本当に好きなのか?あの男のことを」
「好きだよ、好きな気持ちはお兄ちゃんだって分かるはずよ?」


お兄ちゃんだって、好きだから麗子さんと結婚したんでしょ?


「自分で自由に恋愛して結婚できるのに、何であたしはだめなのよ!」


苛立ってしまう


「咲希、俺はお前のことを思って。あいつ、咲希がずっと待ってた男だろ?」


お兄ちゃん・・・なんでそんなこと知ってるの!?


「――――――なんで」
「莉那ちゃんから聞いたんだ、咲希には悪いと思ったけど・・・」


お兄ちゃんの無責任な行動にもっと苛立ってしまった














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