遠恋~君と恋をした日々~
莉那が、あたしに駆け寄ってきた


あたしは片方の手を挙げて無事を知らせた


けど、莉那はあたしから離れなかった


「そんな頭からいっぱい血だして・・・大丈夫なわけないでしょ!?」


莉那はあたしを立たせて、“保健室行くよ”と言った


「大丈夫、あたし一人で行ける」
「でもっ!」

莉那の手に当たったあたしの腕を、悠一が奪い返した


「俺が連れてく、澤村は話しつけとけよ」


悠一に支えられながら保健室へ向かった


「大丈夫か?ハンカチある?」
「あるよ。はい」


ハンカチを悠一に渡すと、あたしのおでこにそっと当てた


「咲希、そんな痛い思いしてまで守りたかったのか?」

「守りたい。だって大事な2人だから。今までの思い出を嘘にしたくない」
「でも、痛いだろ?」
「痛いのはなれてるから」

「どういう意味?」
「何でもない。気にしないで」


つい、口走ってしまった


言うつもりはない。言ったって消えないから


言ったって、意味がないから








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