イケメン御曹司の秘密の誘惑
Act・4 見えない
「待って、もう、会場に戻らないといけないでしょ?」
比奈子がずんずんと先へと進む俺に、手を引かれ小走りで走りながら喚く。
「潤ってば。
こんなところを誰かに見られたら……」
ピタリと足を止めて振り返る。
「見られたら…?…何だよ。
この話が消えて無くなるとでも?」
彼女を睨み付けながら言う。
自分でもぞっとするほどの冷たい声が出る。
…許せない。
先ほどのとろける様な彼女の目を思い出す。
あんな風に俺以外の男を見つめるなんて。