イケメン御曹司の秘密の誘惑

「………。
……寒い訳じゃ……ないのよ」

彼女は震える声でそう呟きながらも、俺の上着の袖口をそっと持ち上げて頬を寄せる。

たったそれだけの仕草が俺への愛を語っている。

たかが、この程度の優しさすらこれまで与えなかった自分を思い知る。


「……何故…戻ってきたの?」

「比奈子に呼ばれたから」

「……嘘。……呼んだりなんてしてないわ」

「…そうか?
……行かないで、って、聞こえた気がするけど?」

「………」



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