イケメン御曹司の秘密の誘惑

「……与えられるのを待っていたのは…
君だけじゃない」

「……え?」

潤がポツリと言う。

彼の目を再び見上げるとそこには悲しみの色が滲んでいた。

彼の輝く大きな瞳を微かに覆う濡れた膜に、息が止まりそうな衝撃を受ける。

「……潤…?」


「…会社の為に…社員の生活の為に、この結婚が義務だという事は…分かってる。
俺に、人生を選ぶ自由などない。

……努力した。受け入れる事を。

……だけど…、駄目だ。

駄目なんだ。

………比奈子を……忘れられない」




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