イケメン御曹司の秘密の誘惑
私は、両手をグッと、爪が食い込むくらいに握りしめながら彼を見つめる。
彼の無表情な視線が私を容赦なく刺す。
……も、…無理…!
耐えられない……。
私は彼から視線を逸らし震える両手の握りこぶしの力をそっと抜いた。
「あ、あは…。だ、だよねぇ。
今は、会社だし…」
そう言って、ふにゃりと笑顔を作る。
いつもそう。
強気なようで、潤に勝てた事なんてない。
そんな私を、彼は相変わらず黙ったままジッと見ている。
「……っ…、わ、私、もう課に戻るわ。
あの、会議もあるし。準備があるから」
誤魔化すようにそう言って、並んで座っている応接ソファーから立ち上がる。