イケメン御曹司の秘密の誘惑


そんな、浅はかな私の思惑を…、彼の未来の妻はいとも簡単に見抜いた。

私は…、知らず知らずのうちに心の糧にしていた、彼の心に何かを残したまま終わる、という最後の砦をあっさりと崩され、ただ、なす術を失った。


「……出来る…わよね?」

「…え」

冴子が次に何を言い出すのか…、静かな恐怖が忍び寄ってくる。

…逃げちゃ駄目よ。
…受けるの。
彼女の申し入れを。

私は順調にいくはずの、幸せになれるはずの、潤と冴子さんの結婚を、もろく、悲しい、嘘で塗り固めたものに変えたのだから。





< 93 / 160 >

この作品をシェア

pagetop