イケメン御曹司の秘密の誘惑
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『これより、主役のお二人に今しばらくの休憩を頂きたく、一時退席をお許しください。
皆様はそのまま、どうぞおくつろぎ、ご歓談下さいませ』
司会者の言葉に俺は冴子と並んで立ち上がり、二人で深く頭を下げた。
温かい拍手に見送られながら会場の出口へと向かう。
比奈子は、先ほどの場所にはもういなかった。
何も語りかけては来ない、静かに光る瞳を思い出し俺は胸を微かに押さえた。