イケメン御曹司の秘密の誘惑

―――も、いい。
もう、たくさんだ。

こんな風に胸が苦しくなるのなら、もう、やめる。

……先ほど悪魔に渡した柔らかい心を…

……返してもらう。


そんな勝手を…神が、赦すのならば。



「冴子さん、しばらく一人にしていただいてもいいですか?
少し、緊張して疲れてしまって」

俺の後ろをトコトコ遅れないように歩いて付いてくる冴子を振り返り、声をかけた。

「あ…はい。わかりました。
落ち着いたら…側にいらして下さいね」

「はい。すみません」

そう言ってから反対側に向かって歩き出した。





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