イケメン御曹司の秘密の誘惑

冴子から離れ、廊下の角を曲がった瞬間、俺は走り出した。

…比奈子…!

会場にはいなかった。
どこへ行った…?

彼女に会って、もう一度聞いてみたい。

今朝のような曖昧な言い方ではなく。

君は、本当にこれでいいのか?

研究は、またやり直せばいい。
例え何年かかっても。
隣に比奈子がいるのなら、二人で新しいものを作り出せる。
そう信じている。


だけど、君は一人しかいない。
今、失ってしまうと、二度と出会えないんだ。


………気付いたんだよ。
…遅すぎたけど。



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