初恋〜sweet×bitter〜
「お前、おもしろいな」
「―――っ!」
そう言うと結城くんは笑った。
爽やかスマイル全開で!
(ず、ずるいよ…。そんな顔で笑うなんて……)
昨日はちょっと怖そうな人だなって苦手な気がしたけど…取り消し。
一気にイメージ変わった。
結城くんって、こんな風に笑う人だったんだ……。
………って!
何考えてんの、私!!
わ、話題を変えよう……。
「ゆ、結城くんこそ、早いね!」
「ちょっと用事があって」
「その、『用事』って何? ……あ、そんなこと聞いたらまずいかな?」
(いきなり聞くとか!私、失礼過ぎるよ!)
「いや、構わないけど…。 呼ばれたんだ」
「……誰に?」
「ハルに」
「えっ?ハルくんに?」
「あぁ。オレに会わせたい人がいるらしい」
それって……。
もしかして、女の子だったりするのかな?
なんか、ちょっとモヤモヤするような………。
「へ、へー…。 どんな人なんだろうね」
「ハルの部活の先輩らしいんけど」
……ん?
確か、ハルくんって…。
「ハルくんの部活って、もしかして…サッカー部?」
「よく分かったな。 小学生の時からの知り合いらしい。 ハルが確か前に…『ナギ先輩』とかって呼んでたような気がするけど…一回聞いただけだからよく覚えてない」
やっぱりサッカー部なんだ…。
小学生の時、ハルくんがシュート決めるたびに女の子達からの声凄かったもんね………。
…ていうか、他校の子まで見に来てたし……。
それにしても、『ナギ先輩』って…確かに同じ小学校出身だし、サッカー部だったけど…まさかね。
でも、この話からすると、もしかしなくても………凪兄!?
ま、まさかね……いくら何でも世の中狭すぎるよね。
(きっと違う人だよ! うん、そうだ!)
『次は、星南〜星南。 お出口は右側です。開くドアに御注意下さい…』
ちょうどその時、車内にアナウンスが流れた。
もう、着いちゃったんだ。
長かったような、短かったような………。
「おい、早くしないとドア閉まる」
「あ、うん」
私は慌てて電車を降りた。