初恋〜sweet×bitter〜
4*ハプニング発生っ!!*
その後、結城くんと一緒に登校をしていつも通りの時間を過ごした。
結城くんが会うと言っていた『ナギ先輩』が凪兄かどうかは確かめることはできなかったけれど。
今は放課後。
私は、授業で使った資料を片付けに来ていた。
こういう仕事も学級委員の仕事らしい。
(それにしても……これ重いっ!!)
仕事はたくさんあったからみんなで分担したんだけど…。
(やっぱり…これを1人で運ぶのは無理があったかも)
資料が束であるせいで前がよく見えない。
(こうなったら、とにかく早く仕事を終わらせた方がいいよね!)
…って思ったんだけど。
「……ここどこ?」
私……。
もしかしなくても迷った!?
すっかり忘れてた。
私って、方向音痴なんだった。
「どうしよ……」
私がそう言った時だった。
「……何してんの?」
「あ、結城くん!」
結城くんは私が手に持っている資料の束を見ると、ひょいっと片手で持ち上げた。
「え?結城くん…」
「まだ終わってなかったのかよ…。しかもここA棟だし。資料室はB棟」
「えっ!? 私、B棟に行くつもりだったのに…。アハ、間違えちゃったみたい…」
「……普通、間違えるか?A棟とB棟じゃ全くの逆方向だし…」
「うっ……」
(痛いとこをつかないでよ! 私だって、自分がそうとうな方向音痴なのは自覚してるんだから……)
結城くんは少し間を置いてから
「B棟、オレも仕事あるから一緒に行くよ。…ついでに資料も持っていってやる」
と、ボソッと小さな声でそう言った。
私は結城くんの後ろ姿を追いながら資料室へ向かった。
結城くんって…優しいんだか、イジワルなんだかよく分かんないなぁ…。