触れることもできない君に、接吻を
「仕方ないな……。だけど俺は、一切責任を負わないからな。お前がどうなろうと」

諦めてそう言うと、ぱあっと由梨の表情が明るくなった。

「有り難う! でも、ごめんね。迷惑かけちゃって」

申し訳なさそうに目を伏せる由梨に、俺は別にかまわないとあしらった。
すると由梨は何か言いたげに口を開いた。
だけど言葉は一向に出ず、口もごもごさせている。

俺はそんな由梨に微かな苛立ちを覚え、何だよとドスを利かせた声で訊いた。

「あの、失礼かもしれないんだけど……。昨日、なんで泣いてたのかなって」

由梨は俺からわざとらしく目線を外して、そう尋ねてきた。

不意打ちを食らった。
そんな質問が来るなんて思ってもしなかったのだ。
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