触れることもできない君に、接吻を
「おいおい、どうした? もう終わりか?」

俺は何も始めていないぞ。
そう言いたかったが、火に油を注ぐようなものだ。
俺は口を噤み、ただひたすら猛烈な痛みを感じていた。

周囲を見回してみたが、裕大の子分以外は誰もいない。
わざとこういう道を選んだのかと、今更ながらに思う。
ていうか通学路から外れていることに気付いたとき、逃げればよかった。
そんな後悔が体中を巡った。

「ほらほら、もっと遊んでくれよお」

今度は肩に蹴りが入った。
俺はうっと呻き、力なくぶらりとぶら下がる腕をだるそうに肩に移動させた。
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