触れることもできない君に、接吻を

その写真は、明らかに俺が知っている由梨そのものだった。
もう弁解の仕様はない。
ここで由梨が死んだと理解せざるを得ない。

だけど、それは有り得ない。
現実的に考えて、有り得てはいけないのだ。

「……まさかな」

俺は現実逃避をするように鼻で笑ってみせた。

「だって今日も話したんだ。あいつが死んでるなんて、ありえねーし」

強がるように、現実を確かめるように、もう一度呟く。
噛み締めるように、自分に言い聞かせる。

「あいつが死んでるなんて、有り得ない」

だけどそんな強がる言葉とは反対に、俺の手足は情けないほどに震えていた。
だってテレビの画面は由梨が死んでいると主張しているのだ。
写真まで用意して、認めろと叫んでいるのだ。

これは納得せざるを得ない。
ここまで揃っているのだ。

俺は震える指で、そっと漫画をテーブルの上に置いた。
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