触れることもできない君に、接吻を
俺は無意識に言葉を放っていた。
意思とは関係なく。

「会ってからまだ三日とか経ってないけど、俺、お前の味方だから。
独りだとか思うなよ。大丈夫だから、俺がいるからさ。
だから、だから、頼ってくれよな? 迷惑とか、そういうこと考えずに、俺のこと家族とでも思ってくれよ」

気付けば声が震えていた。
もう自分を抑える気力も沸かない。

「泣いて、泣いていいぜ? 受け止めるからさ。溜め込むと、それなりにきついから、吐き出しちまえよ」

その言葉に、由梨の指がぴくりと動いた。
一瞬だったけれど、自分の言葉に反応してくれたのかと思うと嬉しかった。

「大丈夫だから。信じてくれよ。俺のこと、もっと、もっと」

すると項垂れていた由梨の頭が、虚ろだった由梨の目が、俺を捕らえた。
今度は嬉しくも何ともなかった。
それよりも怖かった。

その目は確かに、俺を睨んでいた。

「……由梨?」

不思議に思って、恐る恐る尋ねた。
怖がっているということが、ひどいくらいの声の震えで由梨も察しただろう。
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