触れることもできない君に、接吻を

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俺はどろどろとした変な液体の中でもがいていた。
動けば動くほどはまっていく。
足がついているのに、溺れているわけではないのに、段々とその液体に呑み込まれていく。


いきなり口に気持ち悪さが広がり、俺は立ち上がった。
すると急に気だるさが全身を襲い、俺はまた椅子に座った。

そしてやっと気付いた。
ずっと寝ていたんだということに。

さっきのは夢だったのかと思いながら、俺はふと時計を見た。
するともう十二時を過ぎていた。
驚いて周りを見渡すと、今は給食の時間らしい。
俺を除いたクラスメートは、みんな会話を交わしながら食べ物を口に運んでいる。

確か一時間目までの記憶まである。
ということは、それからずっと寝ていたのか。
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