触れることもできない君に、接吻を

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裕大がなぜこんなことをするのか。
きっと憂さ晴らしとかなんだろう。
そう思うと、ムカついてきた。

「ほら、腹が減っているんだろう」

俺は思い切り壁に当たり、跳ね返った。
それでも痛みを感じないのは何故だろう。
いいことなのか、悪いことなのか。

「ん……ぐぅ……」

口の中に何かが入る感触がして、俺はもがいた。
誰かの手によって視界は遮断されていて、視覚は使えない。
残念なことに鼻も詰まっている。
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