触れることもできない君に、接吻を
教室に入ると同時に、昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴った。
俺はみんなに腫れている目を見られないように、すぐに自分の席に着き、突っ伏した。

しばらくして授業開始のチャイムが鳴った。
だけど裕大たちは帰ってこなかった。
そのときの授業の担当の担任の先生も。

みんながなぜ来ないのかと騒ぎ始めた頃、教頭が入ってきて、「自習」だと告げた。

俺は居たたまれない気分になり、ずっと机に突っ伏していた。

申し訳なくて、悔しくて。
怖くて、悲しくて。

まだ微かに震える足が、ものすごく煩わしかった。
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