触れることもできない君に、接吻を

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俺は改めて、隣に座る由梨の姿を見た。
表情は生き生きとしていて、俺よりもよっぽど人間らしい。

だけど生きていないのだ。

漠然とした、信じようがない事実。

俺のイメージ上の生きていない人間――いわゆる幽霊は、青白くて、少し透けていて、生気が全く感じられないようなものだ。
だけどそのイメージが一つも当てはまらない。
だからだろうか。未だに彼女が死んでいると信じられないのは。

「……ん、真人くん」

俺は由梨の声で現実へ引き戻された。
物思いに耽っていて、少し意識がここから離れていたみたいだ。

「ああ、ごめん。ちょっと考え事してて」
「ふうん。あ、そうそう。ちょっと嬉しい報告!」

由梨は顔の前に人差し指を立てて、嬉しそうに微笑みながらそう言った。
俺もつられて笑顔になる。

「マジでか? この頃鬱なものばっかだったからな。それで?」
「実はね、少しだけ……ほんの少しだけなんだけど、記憶が……」
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