イチバンボシ
「・・・・。覚えてたんだ・・・」


今なんて?








「え?あるの?」






遠慮がちに聞いてみた。





「昔にね!」







長く話した記憶はなかったから
当然、名前も知らない。


・・・ハズ。


たしかに、私はこの笑顔を
知っている。







「小学校の時?」




思い当たる節があった。






それは、小学校の時の話。



私は、男子にいじめられて
泣いていた。




道のはしっこで・・・




そのとき、手を差しのべて
くれたのが、ハンカチを
貸してくれたのが、
傷を手当てしてくれたのが・・・



颯介くんなの?




「うん。あのときは泣いてたね?なにがあったのかはわからなかったけど・・・あんまり変わってないなぁ」






思い出すような表情をして・・・


もし・・・




「泣いてる私に手を差しのべてくれた?ハンカチを貸してくれて傷の手当てまでしてくれたのは颯介くん?」






それがあなたなら・・・・






「覚えてたんだ!笑」





あなたに、お礼をいいたい。





「そーだったんだ!あん時は
ありがとう!!」





飛びっきりの笑顔で
そう言った。




「またあえて嬉しいよ!」





颯介くんは、それだけいって





あの時の笑顔を見せてくれた。
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