儚恋。
「な、なんで……」
「だって弥途ったら分かりやすいんだもん」
“弥途”って……。
さっき会ったばかりの人に
呼び捨てにされたくない!
「“弥途”なんて呼ばないで」
私はキッと彼を睨み付ける。
私が弥途って呼んでほしいのはたった1人だけ……
「……。
一途だね、弥途は」
「……っ!!
だから呼ばな――――んんッ」
私が高原蛍の頬を叩こうと
手を上げた時だった。
上げた手を掴まれたと思うと
そのまま引き寄せられて
――――キスされた。