儚恋。



――――突然だった。


突然すぎて
涙すら出なかった。

逆に信じれなかった。



いつも廊下ですれ違うと
雄都くんは



『あっ、百瀬さん。』


と、私を呼んで
彼を見上げるとニコッと笑って手まで振ってくれた。



……ばかだ、私。


自分が特別じゃないことなんて前々から分かっていたのに

彼の優しい行動に

心はますます惹かれてゆく…



期待…してしまう―――。



そんな曖昧な想いを潜ませて
急に付き合ったなんて聞いて


諦められるはずがない…





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