儚恋。




蛍の大きな声に
ビクッと体が震えた。


それと同時に天然で
ふわふわしている蛍でも
怒るんだなと私は目を大きくして驚いた。



「わ…私が何を分かってないのよ?」



「例えば…僕が弥途を好きだとか」



――――え?



「な…なによ。その例え話、
冗談にも程があるよ…」



そう言って
蛍から目を逸らすと、


急に蛍の手が
私の顎を持ち上げて


――――私にキスをした。




前みたいな軽く触れるだけじゃなくて深く、啄(ついば)むようなキス。





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