儚恋。




「…私って、単純かも」



独り言を呟いて、
私は本棚にもたれかかった。



まだ2人はいない。


雄都くんがいない図書室は
あまりにも
静かで、虚しい。


蛍がいないと……寂しい。




それでも、ここへ来れば
きっと
会えると思っちゃう。



あぁ…なんで
こんなにも想っているのに

雄都くんには
伝わらないのかな……?




――――“伝わらない”?


……いや、正確には違う。



私は…――――。




ガチャッ。


その時、図書室のドアが開き
少しずつ
私の方へ近づいてきた。



足音は……1人分。




「――――蛍?」






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