三日月と雨。
ジリッ・・・。
最後の一息を吸って、由紀子は蓋付き灰皿にタバコを押し付けた。
自宅では吸わない主義の由紀子だったが、恭一がわざわざ灰皿を由紀子の家に置いたので、使ってしまっている。
考えすぎよ。
由紀子は、煙を吐いた。
こんな風にいちいち考え込むから、眠れなくなるんだわ。
由紀子は立ち上がる。
一瞬、目の前が白くぼやける。くらりとした体制を立て直し、窓を閉めた。
カーテンまできっちりと閉めて、由紀子は洗面台に向かった。