美しいあの人
祐治は松井さんからの連絡に本当に狂喜乱舞した。
「エリ、これまで黙っていましたが、私は実はまだデビューをしていなかったんです。
けれど、これで本当に作家になることができます。
エリがいるから書けたんです。本当にエリのおかげだと思っています。
なのでこれからも一緒にいてもらえますか？」
涙を流して喜んでいる祐治を見て、あたしは素直に嬉しかった。
たとえデビューのきっかけになった文章を書いたのがあたしだとしても、
作家として表に出るのが祐治であることには変わりない。
だから、西条祐治は作家であるのだ。
あたしは小人さんで構わない。
祐治があたしの側にいてくれるのだったら、あたしは小人さんであり続けよう。
祐治の現実認識に多少の欠陥があったとしても、これからは祐治が作家であるのは間違いないのだから。
あたしは、良かったね、ほんとに良かったねと、
美しい顔に流れる美しい涙をぬぐってあげてから、祐治を優しく抱きしめた。
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