美しいあの人
芙美子さんは、あたしと松井さんを前にして最初憮然としていた。
話があるから来てほしいとせんばづるへ呼び出して、
婚約者の浮気相手と出版社の編集者が現れたら、確かにわけがわからなくて困惑するだろう。
そもそもあたしも、松井さんが芙美子さんになにを話すのか検討もついていなかった。
松井さんが、芙美子さんにもやってほしいことがあるというので、
芙美子さんに「あたしもよくわからないんだけど」と呼び出したのだった。

< 118 / 206 >

この作品をシェア

pagetop