美しいあの人
そうなのだ。
松井さんにとって西条祐治という作家は、
あたしと祐治と芙美子さんの三人がそろわなくては商品足り得ない。
わかっているけれど、ふたりで一つだったらもっと良かったのにと思った。

松井さんが、あたしの顔を見てにやりと笑った。
「エリと芙美子だったら最終的に必要になるのはエリだ。それを忘れるな」
ああ、すっかりお見通しだ。
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