美しいあの人
ホテルにこもって二ヶ月、
そして家へ戻って一ヶ月後、
あたしの書いた祐治の本が書店へ並べられた。
帯には、芙美子さんの見立てた服を着た祐治の写真入りで。

月刊誌へ短編を書くことが既に決まっていたので、
店へ出勤しない日は松井さんと外で打合せをしたり、
ノートパソコンを持って喫茶店などで原稿を書いていた。

祐治は相変わらず何をしているか良くわからなかったが、
家で本を読んでいたり家事をしたり、
週末には芙美子さんと買い物にでかけたりしているようだった。
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