美しいあの人
芙美子さんの立ち直りはあたしよりも早かったようだ。
「エリさんが書くならエリさんのお手伝いをするのでも構わないわよ。
祐治が戻って来たらこれまで通りにすれば良いのだし」
芙美子さんはもう泣いていなくて、
その切り替えの早さと、あたしを支えてくれようとしているのがありがたかった。
松井さんも、色々と考えをめぐらせているようだ。

「いっそ、エリをきちんと作家デビューさせてやるのもいいかもしれないよなあ。
最初こそ西条祐治に似ていると言われるかもしれないが、
元々作家としての西条祐治はエリなんだし
場合によってはこれまでの種明かしをしちまってもいいかもしれん」
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