美しいあの人
二人の方がよほど現実的だったことにあたしはひるんだ。
あたしは祐治の小人さんでありたかっただけで、
あたし自身が作家として脚光を浴びるなんて考えもしていなかった。

「いや無理だよ。あたしやっぱり祐治がいないと書けないよ」
そんなことないと思うけどねえと、松井さんと芙美子さんが顔を見合わせる。

あたしたち三人は、またため息をついた。
いずれにしても祐治と連絡がつかないのではどうにもならない。
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