美しいあの人

「ごめんなさい」
突然千鶴さんがあたしたちに向かって謝った。

「すぐに知らせるべきだったわ」
千鶴さんが、これまで見たことも無い神妙な顔をしていた。
あたしたちは、何も言わずに千鶴さんが話し始めるのを待つ。

祐治がひとりの時に何をしているのか、あたしは全然知らなかったし、
松井さんと芙美子さんも知らなかった。
それぞれでそれぞれと一緒にいるのだろうとたかをくくっていたのだ。

なので、祐治がひとりでせんばづるへ来ていたというのを千鶴さんから聞いて、
あたし達三人はとても驚いた。
「初めて来たときみたいに、ほんとうにふらっとひとりで来たのよ。
驚いたけど、向こうからなにか話してくるわけでもないし、
私が色々知ってるなんて言えないから放っておいたのね」