美しいあの人

止められない時間

祐治がいてもいなくても、時間はあたし達に平等に流れて行く。

結局、次の連載はビジュアルよりも内容押しなのだという理屈で
祐治の露出はせずにプロモーションすることになった。
スケジュールと金銭管理はこれまでどおりに芙美子さんがしてくれたので、
あたしは執筆に集中していた。
松井さんは、あたしや他の作家の面倒を見ながら祐治の行方を探そうとしていたようで、
時間を作っては色々な劇団の公演を見に行っていた。
あたしは祐治がいなければ書いている理由がないとしばらくはごねてみたのだが、
そんなことはない、いずれは西条祐治という看板がなくてもエリ自身がちゃんと作家になれる
という松井さんと芙美子さんの説得で仕方なく書き続けていた。

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