美しいあの人
第七章
変わってゆく形
時計代わりにノートパソコンの横に置いていた携帯が鳴る。
この着信音は芙美子さんからだ。
締切まではまだ余裕があるのに、今日はどうしたのだろう。
事務処理に必要な作業も数日前に今月分は終わっているはずだ。
そもそも、芙美子さんが連絡してくるのはだいたい午後の早い時間で、
今みたいな夕方に電話をしてくるのは珍しい。
「エリです。どうしたの?」
電話の向こうで、芙美子さんがちょっと怒ったような声を出した。
「松井さんから連絡なかった?」
なにがあったかを言わずに唐突に質問を投げつけてくるのは、
芙美子さんが怒っているときの癖だ。
なにかあったのだろうか。
「ないけど? 締切早まったりとかしたの?」
「どうして大事なことをエリさんに話さないのかしら!」
こちらの質問に答えてくれないのも、
興奮しているときの芙美子さんの癖。
「私ひとりで決める訳にはいかないから、今からそっちへ行くわ。
松井さんも呼んでおくから待っててちょうだい」
「かまわないけど、ってちょっと芙美子さん!」
こちらの都合もきかずに勢いで決めてしまうのも
怒っているときの芙美子さんの癖。
この着信音は芙美子さんからだ。
締切まではまだ余裕があるのに、今日はどうしたのだろう。
事務処理に必要な作業も数日前に今月分は終わっているはずだ。
そもそも、芙美子さんが連絡してくるのはだいたい午後の早い時間で、
今みたいな夕方に電話をしてくるのは珍しい。
「エリです。どうしたの?」
電話の向こうで、芙美子さんがちょっと怒ったような声を出した。
「松井さんから連絡なかった?」
なにがあったかを言わずに唐突に質問を投げつけてくるのは、
芙美子さんが怒っているときの癖だ。
なにかあったのだろうか。
「ないけど? 締切早まったりとかしたの?」
「どうして大事なことをエリさんに話さないのかしら!」
こちらの質問に答えてくれないのも、
興奮しているときの芙美子さんの癖。
「私ひとりで決める訳にはいかないから、今からそっちへ行くわ。
松井さんも呼んでおくから待っててちょうだい」
「かまわないけど、ってちょっと芙美子さん!」
こちらの都合もきかずに勢いで決めてしまうのも
怒っているときの芙美子さんの癖。