美しいあの人
きょとんとして松井さんと芙美子さんの顔を順番に見る。
松井さんがテーブルに足を乗せてため息をついた。
その足を、芙美子さんが叩く。
「汚い部屋だからといって行儀悪くしていいわけじゃないわ」
松井さんは肩をすくめて足をテーブルからどけた。
「半年以上経ったんだぞ」
松井さんはそれだけ言ってカフェオレに口をつけた。
芙美子さんが、あたしをじっと見つめる。

あたしは、ダイニングテーブルから離れて二人の側へ行き、
芙美子さんが渡してくれたクッションを座布団代わりにして座ってカフェオレを飲んだ。
美味しい。
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