美しいあの人
松井さんの言いたいことはなんとなくわかった。
でも、ちゃんと松井さんから説明してもらいたかった。

「そうやって、部分的に言えばわかるだろうって決めてかかるの、あなたの悪い癖だと思うわ」
芙美子さんが松井さんを促してくれた。
松井さんは面倒くさそうにポケットからホープを取り出した。
芙美子さんがテーブルの上にある、あたしの吸い殻がたまった灰皿を取り立ち上がって、
キッチンから新しい灰皿を持ってくる。
祐治も色々と気が利く人だが、芙美子さんはそれ以上に細やかに気の利く人だ。

「エリ、お前ペンネームどうする」
「そうじゃないでしょう！」
あたしは、松井さんの言いたいことがほぼわかったが、
それよりも松井さんに鋭くツッコミを入れ続ける芙美子さんに聞きたいことができた。
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