美しいあの人
数ヶ月前に松井さんが焼き肉で同伴してくれた日、
お店が終わったあと祐治を呼び出した。
松井さんにはっぱをかけられたからだけど。
代々木のバーで飲みながら、
あたしは祐治をどれほど好きかを一方的に語り倒し、
そのままタクシーに一緒に乗せて池袋の自分のマンションへと連れ込んだ。

祐治はあたしを拒否することなく、
そうするのがあたりまえみたいにあたしを抱いて、
次の朝もあたしが仕事に出るまでそのまま部屋にいた。

あたしはとても緊張していたが、
美しい人でもセックスするときは普通の男と同じなんだと知って
途中からはリラックスできた。
素直に嬉しかった。

離れがたくて、仕事が終わったらまた会ってほしいと頼んだあたしを
祐治は拒否しなかった。
仕事が終わったことをメールで知らせたら、
祐治はあたしが帰るよりも先にマンションの前で待っていた。

すごく、嬉しかった。
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