美しいあの人
「じゃあどういう人たちがそんなに物をくれるのよ」
美しい顔から笑みがなくなった。
あたしは慌てる。
「えっと、責めてるとかじゃないから」
肩に回されていた手を握った。
優しく握り返される。
「人たち、ではなくて、ひとりの人なんですけどね」
ひとり。それはひとりの特定の女が貢いでいるということか。
はて。あたしはここでまた新たな疑問を口にする。
「それってやっぱり女の人、だよね?」
祐治が頷いた。
ああやっぱり。
そこで男だと言われても困ってしまったかもしれないが。
けれどこんな美しい男なら同性でも目を奪われるかもしれない。
もしそう言われたら困りつつも納得するような気もする。
でも祐治に貢いでいるのはやはり女だ。
祐治の手があたしの指を優しく撫でる。
安心して、と言われているような気になった。
「気にしたら、負けですから」
なにをだ。
あたしは不可解な顔をして祐治を見つめる。
いやだからね、と祐治が困った顔をした。
「私はエリの気持ちは受け入れられたし、実際エリを必要としています。
エリがいるから書けると思ってる。だから、気にしないでほしいんですよ」
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