美しいあの人
第三章
プレゼント
「セール中のデパートっていうのは、どうして平日でも混んでいるんだろう」
エレベーターを待っているあたしの愚痴に、
紙袋を抱えた千鶴さんが冷静に答える。
「それはセール中だから」
あたしと千鶴さんは新宿高島屋に来ていた。
前の日にあたしはなんとなくひとりでせんばづるへ行き、
千鶴さんと話が弾んで一緒に買い物に来ている。
せんばづるへ行く回数が増えるたび、あたしと千鶴さんは親しくなっていた。
祐治と知り合った頃から、
あたしは松井さんがいなくても時々ひとりでせんぱづるへ行くようになっていて、
千鶴さんと女同士の話ができることを楽しんでいた。
千鶴さんは話しやすい。近づきすぎず離れすぎずでとてもつきあいやすい。
混んでいるのでエレベーターはなかなか来ない。
お腹がすいたので上階のレストランに行きたいのだが、あたし達は五階にいる。
一階から買い物を続けてきて、五階のタカノフルーツパーラーを覗いたら非常に混んでいたので、
ではいっそお昼にしようと十二階から上のレストランフロアに行くことにしたのだ。
「どうするの」
千鶴さんがあたしに聞いた。
「上でなに食べるか?」
「そうじゃないわよ」
「三月のセールって春物買うか今着れるもの買うか迷うね」
「エリちゃん」
エレベーターを待っているあたしの愚痴に、
紙袋を抱えた千鶴さんが冷静に答える。
「それはセール中だから」
あたしと千鶴さんは新宿高島屋に来ていた。
前の日にあたしはなんとなくひとりでせんばづるへ行き、
千鶴さんと話が弾んで一緒に買い物に来ている。
せんばづるへ行く回数が増えるたび、あたしと千鶴さんは親しくなっていた。
祐治と知り合った頃から、
あたしは松井さんがいなくても時々ひとりでせんぱづるへ行くようになっていて、
千鶴さんと女同士の話ができることを楽しんでいた。
千鶴さんは話しやすい。近づきすぎず離れすぎずでとてもつきあいやすい。
混んでいるのでエレベーターはなかなか来ない。
お腹がすいたので上階のレストランに行きたいのだが、あたし達は五階にいる。
一階から買い物を続けてきて、五階のタカノフルーツパーラーを覗いたら非常に混んでいたので、
ではいっそお昼にしようと十二階から上のレストランフロアに行くことにしたのだ。
「どうするの」
千鶴さんがあたしに聞いた。
「上でなに食べるか?」
「そうじゃないわよ」
「三月のセールって春物買うか今着れるもの買うか迷うね」
「エリちゃん」