美しいあの人
気にしても気にしなくても、あたしが芙美子さんに負けているのはもうはっきりしていることだ。
あたしには「祐治は自分のもの」という自信がない。
だいたいどうして「気にするな」と言いながら、祐治はあたしに芙美子さんのことを話すのだ。
気にしてくれと言っているようなものではないか。
わからないでしょう。
美しいあなたには、わからないでしょう。
あたしの不安なんか、あなたにはわからないでしょう。
もしも祐治が美しくなかったら、あたしは祐治に惚れただろうか。
わからない。
もし、祐治が美しくなかったら芙美子さんは祐治に固執しただろうか。
それもわからない。
わからないことだらけだ。
わかっているのはあたしも芙美子さんも祐治を好きだということ。
それだけだ。
そんなことを考えているうちに眠ってしまった。
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