カクテル~Parfait Amour~
「ピアノは長くやっているんだっけ?」
話題を戻した。
「三才から音楽教室に通ってて、小学校二年生までがグループレッスンだったの。ピアノ専門にならったのはその後。
グループレッスンの時はエレクトーンも弾いたし、聴音も歌も、アレンジも伴奏付けもならったなあ。
ほら、CMやっているでしょう。」

妃緒がこの店でかけている音楽をドレミで口ずさむ理由がわかった。

「そうそう、幼稚園で先生が弾いてくれた曲をね、聞いて覚えて帰って、よく家で弾いてた。」

妃緒の口調からは、自慢するニュアンスは感じられない。
気が付いたら極自然にできた、当たり前のことなのだろう。

「小さい女の子がいる生活か。楽しいんだろうな。」
幼稚園児の妃緒が鍵盤に向かう姿を想像したら、思わず言葉にしてしまっていた。
「一人っ子だから想像つかないんでしょう?
じゃあ、今日のお話。
『リトル・プリンセス』」
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