カクテル~Parfait Amour~
「最初にこちらにうかがった時にいただいた、苺のミルクティーのカクテルをお願いします。」
「かしこまりました。」

ティフィンの瓶を手にとると、いつも妃緒を思い出す。

「お二人には本当に強い絆があるんですね。
うまく言葉にできなくてすみません。」
「俺には妃緒が必要なんです。
妃緒と一緒ではない人生に、幸せはありませんから。この味、初めてここに来た日を思い出します。」
「僕も、はっきり覚えています。」
離れたら生きてはいけない人間同士が存在することを、理屈ではなく知った日だった。
< 133 / 202 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop